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街が物語に変わる夜。イマーシブシアター『猫町』in ムーンアートナイト下北沢

― 夜の街が、物語に変わる ― 2025年10月5日。ムーンアートナイト下北沢の最終日。夜の気配が濃くなりはじめた19時過ぎ、私はイヤホンを耳に差し、スマートフォンを片手に立っていた。アプリを起動し、再生ボタンを押す。街の喧騒の中で、ひとつの声が静かに響きはじめる。 (「君にはどう見える? 私にはどの月も同...

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雨に映る光の宮殿 ― 迎賓館赤坂離宮ライトアップ2025

2025年10月4日、土曜日。生憎の雨模様の東京・赤坂。けれどその夜、雨粒が作り出した光の反射が、迎賓館赤坂離宮をいっそう幻想的に輝かせていました。 ◆ 迎賓館赤坂離宮とは 迎賓館赤坂離宮(げいひんかん あかさかりきゅう)は、明治42年(1909年)に東宮御所として建設された、日本唯一のネオ・バロック様式の...

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六本木アートナイト2025 ─ 韓国アートが灯す夜の祝祭

はじめに ― 夜の六本木が変わる瞬間 2025年9月27日、六本木の街全体が一夜限りの美術館となった。今年の六本木アートナイトは「都市とアートとミライのお祭り」を掲げ、特に「RAN Focus」として韓国アートを大きく取り上げていた。普段の六本木とは違う、光と影が交錯する夜の街を歩くと、アートに包まれる祝祭...

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北海道の大地に眠る建築の奇跡──真駒内滝野霊園「頭大仏」を訪ねて

2025年9月14日、北海道・札幌市南区にある真駒内滝野霊園を訪れました。前日の雨が嘘のように晴れ渡り、青空が広がっていました。乾いた風に少しだけ秋の気配が混じる、心地よい秋晴れの一日でした。 実は、今回ここを訪れたのには特別な理由があります。今年7月、大阪で開催されていた「安藤忠雄展 青春」で、建築家・安...

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瀬戸内国際芸術祭2025 最終回『豊島』静けさと記憶が交差する島で

導入 訪問日:2025年8月17日会場名:豊島(瀬戸内国際芸術祭2025・夏会期/全9回シリーズ最終回) 9回にわたって綴ってきた瀬戸内国際芸術祭2025の記事も、いよいよ今回が最終回となる。最後の訪問地に選んだのは、私にとって特別な意味を持つ豊島だった。2022年に初めて巡った際、豊島美術館で感じた「時間...

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瀬戸内国際芸術祭2025・犬島編 家プロジェクトと精錬所美術館を歩く

導入 2025年8月17日、私は初めて犬島を訪れました。直島や豊島と並ぶベネッセアートサイトの拠点であり、かつて銅精錬や石材業で栄えた歴史をもつ小さな島です。犬島で出会った家プロジェクト、精錬所美術館、くらしの植物園〈HANA〉、そしてINUJIMAアートランデブーの作品。その体験をご紹介します。シリーズは...

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小豆島|瀬戸内国際芸術祭2025 第7回:夕暮れの島で出会ったアート

導入 2025年8月16日の夕方から翌朝にかけて、小豆島を訪れました。夏会期中の滞在は短時間ではありましたが、瀬戸内国際芸術祭の作品をいくつか巡り、深い印象を受けました。2022年には丸2日かけて島内を回った経験があるため、今回は「限られた時間で、心に響く作品を味わう」という特別な視点での訪問となりました。...

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直島④|瀬戸内国際芸術祭2025 第6回:安藤忠雄建築の集大成、直島の美術空間を巡る

はじめに 2025年8月16日午後。ANDO MUSEUMと直島新美術館を巡った後、私は直島の「核」ともいえるエリアへと向かいました。ここには、安藤忠雄の建築を舞台に世界的なアーティストの作品が常設される、直島の象徴的な場所があります。《ベネッセハウス ミュージアム》《李禹煥美術館》《地中美術館》《ヴァレー...

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直島③|瀬戸内国際芸術祭2025 第5回:ANDO MUSEUMと直島新美術館、安藤忠雄が刻む未来への道

はじめに 2025年8月16日。直島滞在二日目、私は安藤忠雄建築をめぐる時間を過ごしました。古民家の中に現れる打放しコンクリートの空間《ANDO MUSEUM》。そして、今年5月に開館したばかりの《直島新美術館》。瀬戸内国際芸術祭とともに歩んできた直島の歴史に、またひとつ新たな節目が刻まれた瞬間を体感しまし...