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2024年6月21日、江之浦測候所にて行われた「夏至光遥拝の会」は、訪れた全ての人々にとって特別な一日となりました。夏至という一年の節目にあたるこの日は、自然と人々が一体となる瞬間を目撃するための重要な機会です。

日の出時間は4時29分。参加者たちは早朝から測候所に集まり、静寂の中でその時を待ちました。空は徐々に朝焼けに染まり始め、美しい光景が広がっていました。しかし、日の出の約15分前から雨が降り始め、雲が空を覆い始めました。このため、残念ながら100メートルのギャラリーから夏至の日の出を直接見ることはできませんでした。

天空との対話

この「夏至光遥拝の会」は、古代から続く人々の天空との対話を現代に蘇らせる試みです。小田原文化財団設立者の杉本博司氏は、「悠久の昔、古代人が意識を持ってまずした事は、天空のうちにある自身の場を確認する作業であった。そしてそれがアートの起源でもあった」と語ります。冬至、夏至、春分、秋分という一年に4回めぐってくる節目は、古代の人々にとって重要な意味を持つものでした。

江之浦測候所の設計もまた、この思想に基づいています。相模湾から昇る朝日を遥拝するための場所として設計されたこの場所は、自然との一体感を感じさせる構造となっています。四季折々の変化を感じながら、古代の人々が行っていたように天空を測候し、自身の位置を確認することで、新たな気づきを得ることができるのです。

雨の中の遥拝

今年の夏至光遥拝の会は、雨の中での開催となりました。雨が降り始めた時、参加者たちは一瞬がっかりしましたが、すぐにその場の空気は変わりました。雨音が静かに響き渡る中、自然の一部としてその瞬間を受け入れることができたからです。雲に覆われた空もまた、自然の一部であり、そこに存在することの意味を感じさせるものでした。

雨の中での遥拝は、また特別な体験となりました。参加者たちは静かに、そして心を込めてその瞬間を迎えました。自然の中で自分の存在を感じ、古代の人々と同じように天空を見上げることで、自分自身の場を確認するという体験ができたのです。

杉本博司氏のメッセージ

今回の夏至光遥拝の会では、杉本博司氏からのメッセージも紹介されました。「新たなる命が再生される冬至、重要な折り返し点の夏至、通過点である春分と秋分。天空を測候する事にもう一度立ち戻ってみる、そこにこそかすかな未来へと通ずる糸口が開いているように私は思う」という言葉は、参加者たちの心に深く響きました。

現代社会では、日常生活に追われる中で自然とのつながりを忘れてしまいがちです。しかし、こうした節目の時に自然に戻り、天空を見上げることで、私たちは再び自身の場を確認し、新たな気づきを得ることができるのです。杉本氏のメッセージは、参加者たちにとって大きなインスピレーションとなりました。

未来への糸口

江之浦測候所での夏至光遥拝の会は、ただの日の出を見るためのイベントではありません。それは、自然との対話を通じて新たな気づきを得るための機会です。古代の人々が行っていた天空との対話を現代に蘇らせることで、私たちは未来への糸口を見つけることができるのです。

今回の雨の中での遥拝は、自然の一部としてその瞬間を受け入れることの重要性を再認識させてくれました。雲に覆われた空もまた、自然の一部であり、そこに存在することの意味を感じさせるものでした。参加者たちは、この特別な体験を通じて、自然との一体感を感じ、新たな視点を得ることができたのです。

江之浦測候所での夏至光遥拝の会は、これからも多くの人々にとって特別な体験を提供し続けることでしょう。自然との対話を通じて、新たな気づきを得るための機会として、毎年多くの人々が訪れることが期待されています。

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