祇園祭の熱気から静寂へ──「悟りの窓」と「迷いの窓」が導く源光庵の禅時間
はじめに 〜 祇園祭・後祭の熱気を背に、静寂を求めて
猛暑の京都。祇園祭・後祭の宵山最終日で賑わう四条通をあとに、市バス北1系統で鷹峯へ。車窓に北山の緑が迫り、「鷹峯源光庵前」で下車すると一転して蝉しぐれと杉木立の清涼感が迎えてくれました。




源光庵の歩み 〜 “復古禅林”と呼ばれる理由
年代 | できごと | 補足 |
---|---|---|
1346年(貞和2) | 大徳寺二代・徹翁国師が草庵を創建 | 臨済宗の隠居所として誕生 |
1694年(元禄7) | 加賀大乗寺27代 卍山道白(白道)禅師が住持し曹洞宗へ改宗 | 道白=法諱、白道=俗称。寺公式ページでは「白道」表記も併記 |
同年 | 富商・中田静家の寄進で本堂を再建 | 現在の本堂はこの時期のもの |
卍山禅師は曹洞宗の教線を正す「宗統復古運動」を主導し、自らを復古道人と号しました。その功績にちなみ、源光庵は別名「復古禅林」とも呼ばれています。





見どころ① 悟りの窓・迷いの窓
窓 | 形 | 象徴 | 私が感じたこと |
---|---|---|---|
悟りの窓 | 円 | 禅と円通・大宇宙 | 風が抜け、青もみじが水墨画のように揺れて“無”に近づく感覚。 |
迷いの窓 | 角 | 生老病死・四苦八苦 | 同じ景色がフレーミングされ、現実の重みを再認識。 |
二つの窓を交互に眺めるうち、「悟りと迷いは裏表だ」と腑に落ち、自然と深い呼吸になりました。




見どころ② 伏見城遺構の“血天井”
本堂の天井板には、1600年・伏見城で自刃した鳥居元忠ら将兵の血痕が沈着。供養のために床板を転用したもので、禅の「生死一如」を目前で体感できます。




見どころ③ 夏の枯山水と青もみじ
本堂裏庭は北山を借景にした枯山水。夏は青もみじと苔のコントラストが鮮やかで、紅葉期とは別世界の静けさでした。




夏参拝のおすすめセルフワーク
- 円窓前で深呼吸 ×3
- 庭園で五感メディテーション(1分ずつ視・聴・嗅・触・味を意識)
- 迷いの窓を前に“今年手放したい迷い”を紙に書き、心中で焼却イメージ
10分で心の温度が数度下がるような爽快感が得られました。


年中行事と拝観情報(2025年版)
区分 | 内容 |
---|---|
拝観時間 | 9:00〜17:00(受付16:30) |
拝観料 | 通常400円/紅葉期500円 |
主な行事 | 1/1–3 修証会、3月&9月彼岸法要+鳥居元忠追善、8/1–16 孟蘭盆会、10/19 開山忌 |
最新トピック | 2025年7月14日 法要に伴い一時拝観休止済み |


まとめ 〜 “動”と“静”を一日で味わう京都旅
祇園祭の賑わいと、源光庵の深い静寂。
丸窓で広がる“悟り”、角窓で見つめる“迷い”、そして血天井が語る“命”。
「私という宇宙」をじっくりメンテナンスできる場所でした。次回は紅葉期に再訪し、再び円と角の世界を味わいたいと思います。

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