「塩田千春『記憶をたどる船』に圧倒される—福岡市美術館コレクションハイライトを訪れて」
福岡市美術館のコレクションハイライト展を訪れました。特に注目していたのは「コレクションハイライト⑦」。このセクションでは、現代アートの巨匠から新進気鋭のアーティストまで幅広く展示されており、特に印象に残ったのは、塩田千春、インカ・ショニバレCBE、アンゼルム・キーファー、アニッシュ・カプーアの作品です。


塩田千春の作品:『記憶をたどる船』(2023)
塩田千春の《記憶をたどる船》(2023)は、彼女が長年取り組んできた「記憶」や「存在」というテーマを象徴的に表現したインスタレーション作品です。無数の黒い糸で形作られた船が、過去と現在を繋ぐように展示空間を支配し、時間や人々の記憶が交錯する様子を描き出しています。特にこの作品は、過去の記憶が曖昧で不確かであることを象徴するかのような不安定な構造が特徴です。今回の展示では写真撮影が許可されており、その迫力ある美しさをカメラに収めることができました。






インカ・ショニバレCBEの作品:『桜を放つ女性』(2019)
インカ・ショニバレCBEの《桜を放つ女性》(2019)は、アフリカンプリントをまとった女性の像が、桜の花びらを空へと放つかのように片手を掲げた姿を表現した作品です。彼の作品は文化的なアイデンティティや歴史的な背景を反映しつつ、色彩の美しさと動きの表現が見事に融合されています。特にこの作品では、西洋と非西洋の文化が調和する新たな美意識が示されており、鮮やかでありながら深いメッセージ性を持っています。




チョン・ユギョンの作品:『Let’s all go to the celebration square of victory!』(2018)
チョン・ユギョンの《Let’s all go to the celebration square of victory!》(2018)は、カラフルな色彩と幾何学的な構造が組み合わさった作品です。彼女は普段から色と形の調和を重視しながら、社会的メッセージを視覚化することに取り組んでいます。この作品は、希望や勝利の象徴としての「祝祭の広場」をテーマとしており、抽象的でありながらも力強いポジティブなエネルギーを放っています。作品全体の躍動感と鮮やかさが観る者を引き込む魅力に溢れています。


アンゼルム・キーファーの作品:『メランコリア』(1989)
アンゼルム・キーファーの《メランコリア》(1989)は、彼の特徴的な重厚なマチエールと広大なスケール感が際立つ作品です。歴史、神話、宗教といったテーマを取り扱いながら、人間の存在や記憶の儚さを表現しています。この作品は、視覚的な迫力だけでなく、鑑賞者に深い思索を促すような思想性も備えています。特に来月に二条城で開催される彼の個展への期待を高めてくれる素晴らしい展示でした。
アニッシュ・カプーアの作品:『虚ろなる母』(1989-90)
アニッシュ・カプーアの《虚ろなる母》(1989-90)は、光と影の効果を巧みに利用し、見る者に異次元の空間を感じさせる彫刻作品です。凹凸のある表面が光を吸収し、また反射することで、作品の見え方が絶えず変化する点が非常に興味深いです。カプーア特有の神秘的な美しさが強調されており、空間そのものを支配するかのような圧倒的な存在感を持っています。
天神で出会ったパブリックアート
美術館を後にして天神の街を歩いていると、ONE FUKUOKA BLDG.の建設現場でレアンドロ・エルリッヒの《Pixel Tree》を発見しました。建設現場という意外な場所に展示されることで、日常の風景に新たな視点をもたらすパブリックアートとして非常に魅力的でした。天神の街全体がアートで賑わいを見せる様子に感動し、完成を楽しみにしています。





まとめ
今回の福岡市美術館での鑑賞体験は、塩田千春、インカ・ショニバレCBE、アンゼルム・キーファー、アニッシュ・カプーアといった現代アーティストたちの作品を通じて、記憶や文化、存在をめぐるテーマを深く味わうことができました。特に塩田千春の作品を写真に収めることができたのは大きな喜びでした。また、チョン・ユギョンの作品も鮮やかでエネルギーに満ちており、印象に残る展示でした。偶然出会ったレアンドロ・エルリッヒの《Pixel Tree》にも心を動かされ、福岡のアートシーンがますます盛り上がることを期待しています。次回は、二条城でのアンゼルム・キーファーの個展を楽しみにしつつ、さらに多くのアート作品との出会いを求めたいと思います。

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