
引田地区|瀬戸内国際芸術祭2025 第2回:港町に響く手袋と大漁旗の物語
はじめに 2025年8月13日。女木島を巡ったあと、私は今回初めて芸術祭の舞台に加わった「引田地区」を訪れました。香川県東かがわ市のこの港町は、手袋産業で栄えた歴史を持ちつつ、今は人口減や高齢化の波にさらされています。普段なら訪れることのなかった土地に、アートを通じて触れることができたこと自体が貴重な体験で...
はじめに 2025年8月13日。女木島を巡ったあと、私は今回初めて芸術祭の舞台に加わった「引田地区」を訪れました。香川県東かがわ市のこの港町は、手袋産業で栄えた歴史を持ちつつ、今は人口減や高齢化の波にさらされています。普段なら訪れることのなかった土地に、アートを通じて触れることができたこと自体が貴重な体験で...
はじめに 2025年8月13日、連日の猛暑日が続く中、私は瀬戸内国際芸術祭の舞台・女木島を訪れました。芸術祭への参加は今回で2度目。前回は2022年に足を運びましたが、女木島は今回が初めてです。瀬戸内海に浮かぶ「鬼ヶ島」の伝説を持つこの島で、アートと自然がどのように交わるのか、胸を高鳴らせながら船を降りまし...
万華鏡のように世界が反復し、自己が溶け出していく。草間彌生の芸術を象徴する「無限」と「反復」の感覚を、凝縮された空間に体験として結晶させた展覧会が、大阪・心斎橋のエスパス ルイ・ヴィトン大阪で開催中です。タイトルは「INFINITY ― Selected Works from the Collection」...
開催概要 最終日ということもあり、会場は開場直後から人、人、人。動線は常に緩やかな渋滞で、ひとつの展示前に人だかりができると、次のブロックまでゆっくりとしか進めませんでした。それでも「行けてよかった」と言い切れるのは、図面・建築パース・アクソメ・模型、そして大画面映像まで、安藤建築を“つくる手”のレイヤーご...
はじめに 2025年4月27日、東京都立の日比谷公園で開催中のアートイベント「Hibiya Art Park 2025」に足を運びました。本イベントは、東京都が推進する「花と光のムーブメント」の一環として行われており、2024年に初開催されて大きな反響を呼んだ屋外アート企画の第2弾となります。 昨年は「Pl...
桜が散る4月下旬、東京・麻布台ヒルズギャラリーで開催中の松山智一展「FIRST LAST」を訪れました。ニューヨークを拠点に活動する松山にとって、日本初の大規模個展となる本展には、約40点の多彩な作品が集結し、7つの章立て(屋外展示も含む)で構成されています。会場に足を踏み入れた瞬間から、全身を包み込むよう...
— 二条城「ソラリス」と映画『アンゼルム』を経て、二つの絵と向き合う時間 — はじめに:二つの絵との静かな対話を求めて 京都・二条城で開催中の大規模展「アンゼルム・キーファー:ソラリス」で味わった圧倒的な体験が、まだ記憶に新しく残っています。歴史ある空間に響く崩壊と再生のイメージに心揺さぶられ、作品世界に深...
先日、上野の東京国立博物館・表慶館で開催中の特別展「浮世絵現代 Ukiyo-e In Play」に行ってきました。表慶館は明治時代創建の重厚な洋風建築で、そこに足を踏み入れると、まるでタイムスリップしたような不思議な感覚に包まれました。江戸時代から受け継がれてきた木版画の技術と、現代アーティストたちの感性が...
はじめに 東京・谷中。細い路地の奥に、静かに佇む「SCAI THE BATHHOUSE」があります。かつて銭湯だった建物を改装したこのギャラリーは、天井が高く、どこか懐かしさを感じさせる独特の空気をまとっています。 ここで今、名和晃平さんの個展「Sentient(センシエント)」が開催中です。 名和さんとい...
コレクション2 記憶と身体のあいだにたちすくむ、静かなアートの対話 はじめに:やり直しではなく、見つめ直すということ 「Undo(取り消す)」と「Redo(やり直す)」——このふたつの言葉は、コンピュータ上の操作のように簡単にできるものではありません。けれども、私たちの人生や記憶、そして身体や関係の中にも、...