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奈良県 奈良市

西大寺は、奈良時代の天平宝字8年(764)に創建され、鎌倉時代に再興された歴史ある寺院です。本記事では、西大寺の創建の背景やその後の歴史、境内施設について紹介します。

西大寺の創建:奈良時代の歴史と藤原仲麻呂の反乱

西大寺の創建は、奈良時代の天平宝字8年(764)9月11日、藤原仲麻呂(恵美押勝)の反乱が発覚したことをきっかけに始まりました。当時、孝謙上皇は反乱鎮圧を祈願し、四天王像の造立を誓願しました。翌年の天平神護元年(765)に称徳天皇として重祚され、金銅製の四天王像を造立しました。これが、西大寺の起源となります。

西大寺の発展:奈良時代から平安時代にかけて

西大寺は、創建当初は平城京右京1条3・4坊に位置し、広大な境内に多くの堂舎が建ち並び、南都七大寺にふさわしい壮麗な伽藍として栄えていました。しかし、平安遷都後は旧都の寺として朝廷から顧みられなくなり、災害による荒廃もあり、平安中期以降は一度衰退してしまいます。

西大寺の復興:鎌倉時代の興正菩薩叡尊上人

荒廃した西大寺を鎌倉時代に再興したのは、興正菩薩叡尊上人(1201~1290)です。叡尊上人は、「興法利生」をスローガンに戒律振興や救貧施療などの独自な宗教活動を推進し、西大寺は密・律研修の根本道場として再生しました。

西大寺のその後:室町時代から現代まで

室町時代には兵火により多くの堂塔を失いましたが、江戸時代には幕府から寄進された寺領により諸堂の再建が進み、ほぼ現状の伽藍となりました。明治時代には明治28年(1895)6月に内務省から「真言律宗」として独立認可を得て、戦後は新たな宗教法人法の下で全国九十数ケ寺の末寺を統括する総本山となりました。西大寺は、叡尊上人の創始した密律不二の「真言律」の法灯・由緒を現代に伝えています。

境内案内:西大寺の見どころ

現在の西大寺の寺域は約1万坪弱で、本堂・愛染堂・四王堂・不動堂・大黒堂・大師堂・鐘楼・南門・東門などの堂舎が建ち並んでいます。これらはすべて江戸中期以降の再建です。塔頭寺院は、江戸時代には13院ほどありましたが、明治になって取り留めが進み、現在では寺域内にある法寿院・清淨院・華蔵院・増長院・護国院・一之室院の各院と、寺の西北にある興正菩薩の墓所(五輪塔)を中心とする躰性院(奥之院)の計7院がその寺格を伝えています。また、興正菩薩住房の西僧房に由来する西室の建物を総本山宗務所(寺務所)としています。

拝観情報:西大寺の拝観スポット

西大寺では、本堂・愛染堂・四王堂(いずれも年中無休)・聚宝館(開館期間限定)の4ヶ所で拝観が行われています。歴史ある寺院である西大寺を訪れる際は、奈良時代からの歴史を感じることができる境内や堂舎をじっくりと見学してみてください。

まとめ

西大寺は、奈良時代の創建から現代に至るまで、歴史の波に翻弄されながらも法灯を継承し続けている寺院です。その壮麗な伽藍や、興正菩薩叡尊上人による復興によって生まれ変わった西大寺は、現在も密教と戒律の研修の拠点として機能しています。また、境内には多くの堂舎や歴史的建造物が建ち並び、訪れる人々に歴史や文化の息吹を感じさせてくれます。

西大寺周辺には、南都七大寺のひとつである東大寺や、奈良公園、春日大社など、さまざまな観光スポットが点在しています。奈良観光の際には、西大寺をはじめとした歴史ある寺院や、周辺の観光名所を巡って、奈良の歴史や文化を満喫してみてください。

今回の記事では、西大寺の創建から現代に至るまでの歴史や、境内の見どころ、拝観情報を紹介しました。奈良時代創建の古刹である西大寺を訪れることで、日本の歴史や文化をより深く理解することができるでしょう。ぜひ、西大寺を訪れてその歴史と文化を体感してみてください。

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