東京都写真美術館で開催される「即興 ホンマタカシ」展は、日本の著名な写真家、ホンマタカシの約10年ぶりの個展です。本展は、彼の代表作である「THE NARCISSISTIC CITY」と「Thirty-Six Views of Mount Fuji」の2シリーズを中心に、約50点の作品が展示されています。この展示は、2024年1月21日までの期間限定で開催されており、写真愛好家やアートファンにとって見逃せないイベントとなっています。

ホンマタカシとは？

ホンマタカシは1962年東京都生まれの写真家で、1999年に『東京郊外』で第24回木村伊兵衛写真賞を受賞しました。彼の作品は、画一的な都市開発の風景を叙情性を排した視点で捉えることで知られています。彼の著書には『ホンマタカシの換骨奪胎ーやってみてわかった！最新映像リテラシー入門一』などがあります。

「即興」の意味

展示のタイトル「即興」は、ホンマタカシの撮影手法に由来します。彼はビジネスホテルなどの閉め切った一室をカメラの中に見立て、小さな穴から屋外の光を取り込むピンホールカメラの技法を用いています。この方法では、露出などのコントロールが難しく、どのような風景が撮影できるか予測不可能であるため、偶然性や即興性が強調されます。

展示作品の特徴

展示される作品は、「THE NARCISSISTIC CITY」と「Thirty-Six Views of Mount Fuji」の2シリーズが中心です。これらの作品はピンホールカメラの技法を用いて撮影され、室内の壁に外部の風景を映し出し、印画紙に定着させています。特に「THE NARCISSISTIC CITY」シリーズは、国立新美術館や水戸芸術館などの名建築を被写体としており、「建築で建築を撮る」という試みが見られます。

「即興 ホンマタカシ」展は、ホンマタカシの新たな試みとしてのピンホールカメラの技法を通じて、都市や自然の風景を独特の視点で捉えた作品群を展示しています。この展示は、写真の可能性を再考し、観る者に新たな視覚体験を提供します。ホンマタカシの作品に親しんでいる人々にとっても、初めて彼の作品に触れる人々にとっても、この展示は新鮮な驚きと発見の場となるでしょう。