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和歌山県 東牟婁郡

那智大社、別名「熊野那智大社」は、和歌山県新宮市に位置し、世界遺産にも登録されている熊野三山の一つです。田辺市本宮町の熊野本宮大社、新宮市の熊野速玉大社とともに、全国に約4,000社ある熊野神社の御本社を務めています。

那智大社の起源は、那智の滝を神と崇める自然信仰にあります。熊野の神々も元々滝もとに祀られていましたが、仁徳天皇5年(317年)に現在の場所に社殿が創建され、遷されたとされています。山の緑に囲まれた那智大社では、朱塗りの社殿や礼殿が神聖な雰囲気を醸し出しています。

那智大社の主祭神は、万物の生成・育成を司る「熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)」で、「伊弉冉尊(いざなみのみこと)」とも言われています。その御神徳により、多くの願いを結んでいただける「結宮(むすびのみや)」として崇められています。

境内には、神武天皇を大和に導いた三本足の烏「八咫烏(やたがらす)」が大任を終えて石になったとされる「烏石」や、樹齢約850年の大楠が見られます。この大楠の根元には空洞があり、「胎内くぐり」をすることで無病息災を願うことができます。

観光地として有名な那智の滝は、熊野那智大社のご神体として崇拝されています。また、熊野速玉大社は神倉山のゴトビキ岩、熊野本宮は周囲の川や川洲を御神体としており、滝・岩・川がそれぞれの神として祀られています。過去を癒し、現在の恐れや不安をなくし、未来の喜びを創造することが熊野三山の意味であり、その地には深い信仰が根付いています。熊野は森が深く、古くから「いにしえの地」と呼ばれ、亡くなった先祖が宿る場所とされていました。熊野への参拝は、これまでの罪や穢れ(けがれ)を落とし、生まれ変わることができる「再生」の象徴とされています。

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成遺産として指定されている熊野那智大社は、那智の滝とともに国内外から多くの参拝客や観光客が訪れる場所です。熊野夫須美大神を主祭神とし、「結び」を意味する夫須美から、多くの人が縁結びや願い事を叶える場所として参拝します。また、那智の滝を祀る別宮「飛瀧神社」も存在しています。

熊野那智大社は、仏教の「観音信仰」の聖地としても知られています。インドの僧・裸形上人(らぎょうしょうにん)が那智の滝で修行を積んだことから、その場所に草庵が建てられ、現在は「那智山青岸渡寺(なちさんせいがんとじ)」として熊野那智大社の隣に寺院が存在しています。

那智山青岸渡寺の美しい赤い三重塔は、自然に映える風景とともに、那智の滝を背景にした撮影スポットとして人気があります。観光客や参拝客が絶えない那智大社は、日本の文化・歴史・自然を感じることができる魅力的な場所です。那智大社を訪れる際は、熊野三山の歴史や信仰、ご神体となる那智の滝など、その魅力を存分に味わってみてください。

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