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和歌山県 新宮市

神倉神社は、熊野信仰の発祥地であり、熊野三山に祀られる熊野権現が初めて地上に降臨したとされる古社です。権現山の中腹に鎮座し、天ノ磐盾と呼ばれる険しい崖の上に位置しています。神倉神社へのアプローチは、熊野古道の一部である五百数十段の急峻な石段を登ることが必要ですが、その先には神秘的なゴトビキ岩が待っています。

このゴトビキ岩からは、新宮市街地と熊野灘の遥か彼方まで見渡せる絶景が広がり、新宮市随一のビュースポットとしても知られています。また、毎年2月6日に行われる奇祭「御燈祭り」の舞台でもあります。

歴史的には、平安時代以降に熊野信仰が盛んになると、熊野権現が諸国遍歴の末に、熊野で最初に降臨した場所であるとされました。熊野三所大神が最初に降臨した場所であることから、神倉神社は熊野根本神蔵権現や熊野速玉大社奥院とも称されました。その後、神倉山を拠点に修験者たちが集まり、様々な参詣記や古文書に名が登場しています。

神倉神社の拝殿は、近世の境内に懸造されていたものが、明治3年(1870年)の台風で倒壊し、その後荒廃しました。しかし、大正7年(1918年)に祠が再建され、昭和期に社務所や鳥居などが再建されました。現在は、熊野速玉大社の境外社の扱いであり、朱印や御札などは熊野速玉大社の社務所で取り扱われています。御朱印には「熊野三山元宮」と記載されています。

神倉神社への参拝は、権現山の麓から538段の急峻な石段を登り、社殿を目指すことから始まります。途中、息を切らせながらも、周りの自然を感じながら参拝者たちは進みます。登りきった先にある神倉神社の境内には、熊野権現が降臨したとされるゴトビキ岩が鎮座しており、参拝者たちの想いが詰まった神聖な空間が広がっています。

御燈祭りでは、松明を手にした男たちが急峻な石段をものともせず暗闇の中で権現山を駆け下ります。この祭りは、神倉神社の独特の雰囲気と相まって、訪れる人々に強烈な印象を残すことでしょう。

新宮市街地の眺望が楽しめる社殿下の広場は、市街地と海を見晴らす絶好のビュースポットです。ここで一息ついて、熊野灘の壮大な景色を眺めながら、神倉神社の歴史や熊野信仰の意義を思い起こすことができます。

熊野信仰の発祥地である神倉神社は、その歴史と神秘的な雰囲気、そして絶景スポットとして、多くの人々に訪れる価値がある場所です。熊野古道を歩く旅の途中に立ち寄り、ゴトビキ岩を見上げながら、熊野三山の神々に思いを馳せることで、日本の歴史や信仰について新たな発見があるでしょう。

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