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広島県 厳島神社

広島県の厳島(通称:宮島)にある厳島神社は、日本三景のひとつとして名高い。その中心に位置する本殿から左右に延びる回廊は、なんと270mもの長さを誇ります。平安貴族の住宅様式である寝殿造りを基調とした壮麗で美しい建築美が特徴です。また、世界遺産に登録されている範囲は、厳島神社の建築物群だけでなく、前景の海や背後の弥山原始林を含む森林地帯まで広がっています。

厳島神社の歴史は古く、1400年以上前の推古天皇の時代に創建されたとされています。そして現在の厳島神社の基本形が築かれたのは、平安時代後期に、平清盛の命によって建てられました。その最も目立つ特徴は、海に立つ朱色の大鳥居です。

境内は遠浅の浜にあり、干潮時には大鳥居まで歩いていくことができます。その際には、3つの「鏡の池」が見どころです。周囲が干潟になっている中で、社殿前にだけ泉が湧き出るような優美な景観が楽しめます。

潮が満ちると、大鳥居はもちろん、社殿や回廊まで海に浮かんでいるかのような、奇跡的な光景が広がります。これは、平清盛が「神の島」を足で踏まぬようにと、海上に神社を建てさせたためです。満潮時には海面が床板のギリギリまで来るように設計されており、瀬戸内海の潮の満ち引きによってその姿は刻々と変化します。

社殿の背後には、山岳信仰の対象とされる弥山がそびえ立ちます。自然景観と建築美の調和が、すべて細かく計算されて成立しているのです。

海上に建つ厳島神社が長年その姿を保っているのにはいくつかの理由があります。まず、海底に「千本杭」と呼ばれる多くの松の杭を打ち込んで地盤を固めたことが挙げられます。大鳥居は驚くことに、その杭に乗っているだけなのです。現在の大鳥居は8代目で、その屋根の中は空洞になっており、砂利が詰められています。鳥居と砂利の総重量は約60トン。この重さのおかげで、波や嵐に耐えられるのです。

さらに、社殿群を繋ぐ舞台や回廊の床の、板と板の間には、わざと隙間が設けられています。これが重要なポイントで、高波が押し寄せる際に、水がこの板の間を通ることで水圧が弱まり、社殿に浮力がかからないようにしています。

また特筆すべきは、本殿の前にある平舞台です。ここだけは石の柱が支えているものの、床板は柱の上に置かれているだけです。水面が上がると床板が筏(いかだ)のように浮き、高波の衝撃を巧みに受け流し、本殿に荒波が押し寄せないように工夫されています。ポンプや排水機械のない時代に考案された優れた建築技術であり、四方を海に囲まれた日本において、まさに先人の知恵と言えます。

厳島神社への参拝はもともと、船を使って鳥居を通り参詣していました。そのため、船底が砂にこすらないように、参道は周囲よりも掘り下げられています。この船の参道は、干潟時に見ることができます。鳥居を通るように1本の道が現れるのが分かるでしょう。

このように様々な工夫と知恵が詰まった厳島神社は、何度も修復・再建を重ねながら、平安の世の様式を今に伝える貴重な遺産です。美へのあくなき追求と、自然との調和、緻密な設計によって私たちを魅了する、まるで海上に現れた「竜宮城」のような厳島神社は、時の流れを忘れさせる美の世界に、訪れる人々を引き付けてやみません。瀬戸内海の穏やかな波が、その独特の風景を一層引き立てるかのように、厳島神社は世界遺産としてその魅力を放ち続けています。

厳島神社を訪れる際には、潮の満ち引きによってその景色が変わることを楽しんでください。干潮時には、大鳥居の下を歩いてみるのも一つの思い出になるでしょう。また、満潮時には、海上に浮かぶかのように見える社殿や回廊を眺めることができ、神秘的な雰囲気を楽しむことができます。

厳島神社は、広島県の宮島に位置し、日本三景のひとつに数えられるだけでなく、世界遺産にも登録されていることから、国内外の観光客に人気のスポットです。美しい自然と歴史ある建築物が調和する厳島神社を訪れて、日本の伝統と文化に触れる貴重な体験をぜひお楽しみください。

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