Article list

兵庫県 西宮市

兵庫県西宮市に位置する越木岩神社は、古代磐座信仰のサンクチュアリであり、六甲山系の北山の麓に位置しています。越木岩神社は、原始的な磐座信仰から始まり、現在でも御神体として祀られている磐座を崇める信仰の地として、古代から存在していました。神社の創建は、西暦600年から700年頃と推定されており、大地震を機に地鎮を目的として、大地を司る神・大地主大神(おおとこぬしのおおかみ)=大国主大神が祀られました。

越木岩神社の御祭神は、蛭子大神(ひるこおおかみ)、つまり戎(えびす)神であり、福男選びの神事で有名な西宮神社から江戸時代に勧請されました。また、越木岩神社の周辺には、「甑岩」と呼ばれる巨岩があり、神社名の由来ともなっています。

「甑岩」には、不思議な伝説があります。ある時、この磐座を大阪城築城のために切り出そうとした豊臣秀吉に対し、村人たちが懇願しましたが、秀吉は石工に命じて磐座を割らせました。すると、割れんとする岩の間より鶏鳴きが聞こえ、真白な煙が立ち昇り、石工たちは倒れ臥しました。甑岩には、池田備中守長幸の家紋の刻印が刻まれ、岩の中には肥前佐賀藩主・鍋島勝茂の刻印も残されているようです。甑岩の形状から、女性守護、安産や子授けの御神徳があるとされ、岩の手前に座す岩社には女神・市寸島比売命(いちきしまひめのみこと)がお祀りされています。また、御神体である岩の周りを一周すると、御利益が戴けるとされています。

越木岩神社の敷地内には、北座、中座、南座(甑座)という3つの磐座群があります。特に、北座の磐座には、陽が射すと願いが叶うという言い伝えがあり、多くの参拝者に人気があります。

また、境内には末社もあり、そこには古代よりの地鎮の聖地が残されています。例えば、甑岩までの石段途中に鎮座する末社「土社」には、大地主大神が祀られています。一般的に建物を建てる前には地鎮祭が執り行われますが、それはこのような神々に工事の無事安全を祈願するものです。

越木岩神社は、自然に囲まれた神秘的な空間であり、日本の古代信仰や文化に触れることができる貴重な場所です。ぜひ、越木岩神社に訪れて、その魅力を感じてみてください。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。