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兵庫県 西宮神社

西宮神社は、福の神様として信仰されるえびす様をお祀りする神社の総本社で、通称「えびす宮」とも呼ばれています。三連春日造という珍しい建築構造の本殿は、江戸時代の寛文三年(1663年)に四代将軍・家綱の寄進によって建てられ、国宝に指定されていました。しかし、昭和20年の空襲により焼失し、昭和36年に桧皮葺から銅板葺に変更されて復元されました。現在の本殿は、銅屋根が古色を帯び、えびすの杜を背景に静かに佇んでいます。

本殿には、向かって右から第一殿、第二殿、第三殿と並んでいます。第一殿には蛭児大神が祀られ、第二殿には天照大御神と明治初年に大国主大神が配祀され、左の第三殿には須佐之男大神が奉斎されています。これら三神は、日本書紀本文によれば兄弟の神とされています。大国主大神は、式内社・大国主西神社が西宮にあったという伝承から、明治になって配祀されるようになったと考えられます。

本殿の後方に広がる境内のえびすの森は、兵庫県指定の天然記念物になっています。

現在、西宮神社では1月9日から11日にかけて「十日えびす」が開催され、阪神間最大の祭りとして全国に知られています。特に1月10日早朝の大祭終了後の「走り参り」は、福男選びとして大変な盛り上がりを見せます。また、9月22日の例祭や翌日の渡御祭、和田岬までの海上渡御、産宮参りも、秋の西宮祭りとして地元の人々に親しまれています。

通称「赤門」と呼ばれる表大門は、豊臣秀頼公の奉献によるものとされ、桃山建築の遺構を残しています。その左右に連なる全長247メートルの大練塀とともに、重要文化財に指定されています。

福男選びは、正式には「十日戎開門神事福男選び」と呼ばれます。1月10日午前4時から十日えびす大祭が行われ、午前6時に終わると同時に表大門が開かれ、参拝者が本殿までの230メートルを「走り参り」します。先着3人が福男と認定されるのです。

西宮神社周辺では、室町時代から江戸時代にかけて、1月9日夜には家から外出しない「忌籠(いごもり)」という習慣がありました。その間に「えべっさん」が市中を巡るとされていました。忌籠り明けの翌朝、身を清めて神社に詣でることが、福男選びの始まりとされています。

西宮神社の福男選びは、その歴史と伝統により、多くの人々に親しまれている神事となっています。地域に根ざしたこの神事は、今後も参拝者に神のご加護を求め、熱気に包まれた祭りとして続いていくことでしょう。

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