KYOTOGRAPHIE 2026 全13会場ガイド|3年連続訪問者の体験まとめ|全10本シリーズ完結
2024年、2025年、そして2026年。KYOTOGRAPHIEに通うのも今年で3年目になりました。
2026年は4月18日・19日の2日間で13会場をめぐり、その体験を全10本の訪問記としてまとめてきました。この記事は、その10本をひとつのガイドとして整理した完結編です。
これからKYOTOGRAPHIE 2026を訪れる方、すでに訪れた方の振り返り、来年以降の参加の参考に、ぜひお役立てください。


KYOTOGRAPHIE 2026とは?
KYOTOGRAPHIE(京都国際写真祭)は、毎年春に京都で開催される国際写真祭です。2013年にスタートし、2026年で第14回を迎えました。
2026年のテーマは「EDGE(エッジ)」。境界、分断、接触、移ろい、未知へ踏み出す瞬間。多義的な「縁」をめぐる思考を促すキーワードです。世界8カ国・地域から13組のアーティストが参加し、京都市内12会場(一部アーティストは複数会場展開)で開催されています。
会期は2026年4月18日(土)から5月17日(日)まで。
KYOTOGRAPHIEの最大の特徴は、京都の歴史的建造物・町家・近代建築・寺社・美術館といった多彩な空間を会場に使うことです。「写真と空間が対話する」体験こそが、このフェスティバルの本質です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2026 |
| テーマ | EDGE(縁) |
| 会期 | 2026年4月18日〜5月17日 |
| 回数 | 第14回 |
| 参加アーティスト | 8カ国・地域から13組 |
| 会場 | 京都市内 12会場(一部複数会場展開) |
| 公式サイト | kyotographie.jp |
今年の特色のひとつは「SOUTH AFRICA IN FOCUS」と題された南アフリカ特集で、4組の南アフリカにゆかりのある作家が参加しています。
3年連続訪問者が選ぶ、2026年の個人ベスト3
13会場・14展示をめぐった中で、特に印象に残った3作品です。
- YVES MARCHAND & ROMAIN MEFFRE「Les Ruines de Kyoto」(重信会館)
- LINDER STERLING「GODDESS OF THE MIND」(京都文化博物館 別館)
- DAIDO MORIYAMA「A Retrospective」(京都市京セラ美術館)
3作品に共通するのは、会場と作品の完全な一体感です。廃墟写真と昭和モダン建築、シャネル協賛の前衛アートと赤煉瓦の重要文化財、回顧展の規模感と美術館の格。それぞれが「この会場でこの作品を観る意味」を圧倒的な完成度で示してくれました。



テーマ別の振り返り
南アフリカという震源地(4作品)
今年の最大の特色は、南アフリカにゆかりのある4組のアーティストが参加していることです。アパルトヘイト時代から現在まで、過去・現在・未来を繋ぐ視点が交差しました。
- ERNEST COLE「House of Bondage」(京都市京セラ美術館)。アパルトヘイト下の南アフリカを記録した歴史的写真集の日本初公開
- LEBOHANG KGANYE「記憶のリハーサル」(東本願寺 大玄関)。写真を立体的に切り出す独自の手法で家族と記憶を可視化
- PIETER HUGO「What the Light Falls On」(京都市京セラ美術館)。個人的な省察を20年以上にわたって積み重ねた肖像
- A4 ARTS FOUNDATION(八竹庵)。機関として80年分のフォトブックアーカイブを展示






日本人作家3組のまなざし
海外作家中心のKYOTOGRAPHIEで、日本人作家3組がそれぞれ異なる視点を提示しました。
- DAIDO MORIYAMA「A Retrospective」(京都市京セラ美術館)。60年の軌跡を時代順にたどる回顧展
- SARI SHIBATA「Dotok Days」(ASPHODEL)。ランスのレジデンスで生まれた、都市的な洗練を持つセルフポートレート
- ATSUSHI FUKUSHIMA「Under the Burning Sun」(ygion)。農業転身後の畑・野菜・農家の瑞々しい記録



廃墟と消失、その先のAI
YVES MARCHAND & ROMAIN MEFFREは、廃墟写真というジャンルを世界的に確立してきたデュオ。今回はそこに生成AIで「廃墟になった京都」を想像する新作も加わりました。
- YVES MARCHAND & ROMAIN MEFFRE「Les Ruines de Kyoto」(重信会館)。デトロイト・軍艦島・廃劇場、そしてAIで生成された未来の廃墟京都


ファッション・音楽・前衛アート
ロックやファッションの文化史と深く繋がる3作品です。
- LINDER STERLING「GODDESS OF THE MIND」(京都文化博物館 別館)。CHANELコラボのフォトモンタージュ、フェミニズムとパンクの系譜
- ANTON CORBIJN(嶋臺ギャラリー)。U2、Depeche Mode、Joy Divisionなどロック史を定義するポートレート
- THANDIWE MURIU「CAMO」(誉田屋源兵衛 竹院の間 / 出町桝形商店街)。アフリカン・パターンに溶け込むビビッドな自画像






場所と空間の対話
会場との一体感を最大限に活かした2作品。シリーズ最終回で「光の宿る場所」というテーゼで結びました。
- FEDERICO ESTOL「Shine Heroes」(誉田屋源兵衛 黒蔵)。ボリビアの靴磨き師60人と協働、暗がりの蔵に浮かぶ南米の現実
- JULIETTE AGNEL「La Susceptibilité des roches」(有斐斎弘道館)。ヴァン クリーフ&アーペル共同制作、茶室文化と石の磁場



会場別グルーピング
京都市京セラ美術館トリオ
本館 南回廊2階に3作品が集約。1チケットで3展示すべて見られます。
- DAIDO MORIYAMA、ERNEST COLE、PIETER HUGO
誉田屋源兵衛デュオ
老舗呉服商の本店で、別棟の2会場に2作品。
- THANDIWE MURIU(竹院の間)、FEDERICO ESTOL(黒蔵)
その他の単独会場
- 重信会館(YVES MARCHAND & ROMAIN MEFFRE)
- 京都文化博物館 別館(LINDER STERLING)
- 嶋臺ギャラリー(ANTON CORBIJN)
- 東本願寺 大玄関(LEBOHANG KGANYE)
- 八竹庵(A4 ARTS FOUNDATION)
- 有斐斎弘道館(JULIETTE AGNEL)
- ASPHODEL(SARI SHIBATA)
- ygion(ATSUSHI FUKUSHIMA)
- 出町桝形商店街(THANDIWE MURIU 第2会場)
3年連続で訪れた会場の変遷
KYOTOGRAPHIEは、多くの会場を年をまたいで継続的に使っています。3年連続で通っていると、「あの場所が今年はこんな作家を迎えている」という変遷自体が、もうひとつの楽しみになります。
3年連続使用の会場(4会場)
| 会場 | 2024年 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|---|
| 誉田屋源兵衛 | Birdhead(中国) | 石川真生「アカバナ」 | THANDIWE MURIU / FEDERICO ESTOL |
| 嶋臺ギャラリー | Lucien Clergue | Lee Shulman & Omar Victor Diop | ANTON CORBIJN |
| 出町桝形商店街 | Yoriyas | レティシア・キイ | THANDIWE MURIU 第2会場 |
| ASPHODEL | Yoriyas | レティシア・キイ | SARI SHIBATA |
2年連続使用の会場
| 会場 | 過去の使用 | 2026年 |
|---|---|---|
| 八竹庵 | 2025年 アダム・ルハナ + 土田ヒロミ | A4 ARTS FOUNDATION |
| 京都文化博物館 別館 | 2025年 Pushpamala N | LINDER STERLING |
| 東本願寺 | 2025年 イーモン・ドイル | LEBOHANG KGANYE |
| 京都市京セラ美術館 系 | 2024年 川内倫子・潮田登久子・川田喜久治 / 2025年 イトゥルビデ(別館) | DAIDO MORIYAMA/ERNEST COLE/PIETER HUGO |
特に印象的なのが誉田屋源兵衛です。2024年は中国・上海のBirdhead、2025年は沖縄を撮り続けた石川真生、2026年はケニアのTHANDIWE MURIUとウルグアイのFEDERICO ESTOL。創業から240年以上続く帯屋の空間が、毎年世界各地の作家とともに違う表情を見せています。
ASPHODELと出町桝形商店街もユニークな変遷を辿っています。2024年と2025年は同じアーティスト(Yoriyas、レティシア・キイ)が両会場展開していましたが、2026年は別々のアーティスト(SARI SHIBATA、THANDIWE MURIU第2会場)が使う構成に変わりました。KYOTOGRAPHIEの「2会場展開」という方法論そのものが、年ごとに進化していることがわかります。
会場と作品のマッチングがこの写真祭の核心ですが、その「マッチング」は単年ごとに完結するものではなく、3年を通して見ると会場側にも独自の物語が積み重なっていることがわかります。


2日間13会場のスケジュール実例
私が訪問した2日間のスケジュールです。1日で7〜8会場をめぐる現実的なペースの参考にしてください。
| 日付 | 時刻 | 会場 | アーティスト |
|---|---|---|---|
| 4/18 (土) | 12:00 | 京都市京セラ美術館 | DAIDO MORIYAMA |
| 4/18 (土) | 13:00 | 京都市京セラ美術館 | ERNEST COLE |
| 4/18 (土) | 13:00 | 京都市京セラ美術館 | PIETER HUGO |
| 4/18 (土) | 14:00 | ASPHODEL | SARI SHIBATA |
| 4/18 (土) | 14:00 | ygion | ATSUSHI FUKUSHIMA |
| 4/19 (日) | 10:00 | 東本願寺 大玄関 | LEBOHANG KGANYE |
| 4/19 (日) | 11:00 | 嶋臺ギャラリー | ANTON CORBIJN |
| 4/19 (日) | 11:00 | 重信会館 | YVES MARCHAND & ROMAIN MEFFRE |
| 4/19 (日) | 12:00 | 京都文化博物館 別館 | LINDER STERLING |
| 4/19 (日) | 12:00 | 誉田屋源兵衛 竹院の間 | THANDIWE MURIU |
| 4/19 (日) | 13:00 | 八竹庵 | A4 ARTS FOUNDATION |
| 4/19 (日) | 13:00 | 誉田屋源兵衛 黒蔵 | FEDERICO ESTOL |
| 4/19 (日) | 14:00 | 有斐斎弘道館 | JULIETTE AGNEL |
| 4/19 (日) | 15:00 | 出町桝形商店街 | THANDIWE MURIU |
歩いてめぐれる距離にある会場が多いので、効率的に動けばこのペースでも各会場で30分〜1時間の滞在を確保できます。
訪問のコツ:3年通って分かったこと
パスポートチケットを活用
複数会場を訪れるなら、全会場共通のパスポートが圧倒的にお得です。会期中何度でも入場できるため、3〜4会場以上めぐる予定なら個別チケットより必ずお得になります。料金は公式サイトでご確認ください。
1日のスケジュールの組み方
1日で7〜8会場をめぐることは可能ですが、各会場でじっくり鑑賞するなら4〜5会場が現実的です。エリアごとに会場をまとめてめぐるルート設計が効率的です。岡崎エリア、室町エリア、烏丸御池エリア、出町柳エリアなど、京都市内のいくつかのエリアに会場が集中しています。
撮影について
会場や展示によって撮影可否が異なります。訪問前にKYOTOGRAPHIE公式サイトのFAQページで最新のルールをご確認ください。

KYOTOGRAPHIE 2026 訪問記 シリーズ全10本
各記事へのリンク一覧です。気になる作品から自由にお読みください。
| No. | アーティスト | 会場 |
|---|---|---|
| 1 | DAIDO MORIYAMA | 京都市京セラ美術館 |
| 2 | YVES MARCHAND & ROMAIN MEFFRE | 重信会館 |
| 3 | LINDER STERLING | 京都文化博物館 別館 |
| 4 | ANTON CORBIJN | 嶋臺ギャラリー |
| 5 | THANDIWE MURIU | 誉田屋源兵衛 竹院の間 / 出町桝形商店街 |
| 6 | ERNEST COLE | 京都市京セラ美術館 |
| 7 | LEBOHANG KGANYE | 東本願寺 大玄関 |
| 8 | A4 ARTS FOUNDATION + PIETER HUGO | 八竹庵 / 京都市京セラ美術館 |
| 9 | SARI SHIBATA + ATSUSHI FUKUSHIMA | ASPHODEL / ygion |
| 10 | FEDERICO ESTOL + JULIETTE AGNEL | 誉田屋源兵衛 黒蔵 / 有斐斎弘道館 |

3年連続で通って思うこと
KYOTOGRAPHIEに通うのは2024年からですが、毎年その密度が増していくように感じます。
1年目(2024年)はとにかく圧倒される体験でした。すべての会場を回りきれず、「全部は見られなかった」と帰路についた記憶があります。
2年目(2025年)は会場の位置関係や、パスポートの使い方に慣れて、展示への集中力が高まりました。
そして3年目の2026年。「会場と作品のマッチング」というKYOTOGRAPHIEの本質が、はっきりと見えるようになってきました。今年で言えば、廃墟写真を昭和モダンの重信会館で見ること、アパルトヘイト記録写真を森山大道の作品と並べる京セラ美術館、アフリカン・パターンを伝統的な町家と庶民の商店街の両方で展開すること。それぞれの「会場の選択」に、強い意図があります。
そして気づいたのは、KYOTOGRAPHIEが多くの会場を年をまたいで使い続けているということです(本記事「3年連続で訪れた会場の変遷」セクション参照)。会場の選択に意図があるだけでなく、会場側にも独自の歴史が積み重なっていく。この立体的な視点は、3年連続で通うことで初めて見えてくる景色です。
写真は壁に掛けられた瞬間に完成するのではなく、空間との対話の中で完成する。京都という都市全体が、写真祭の「展示室」になっているのだということを、今年改めて実感しました。

来年2027年も京都へ
KYOTOGRAPHIE 2026は2026年5月17日まで開催されています。まだ訪問されていない方には、ぜひ実際に足を運んでみてほしい体験です。
2027年も、私は4月の京都にまた来ます。3年連続が4年連続になるそのときに、どんな展示が私たちを待ってくれているか。今から楽しみです。
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